ソニー生命保険向け コンサルティングフォローの実現に向けたシステム構築

システムのニーズ・機能

ソニー生命保険株式会社は、「コンサルティングフォロー」をさらに充実させるためのプラットフォームとして「共創プロジェクト」をリリース。
新型端末を導入して、ソニー生命が先駆的に確立してきたライフプランニングをベースとしたシミュレーションシステムなどの営業支援システムを刷新するとともに、生命保険の申込み手続きのペーパーレス化を実現しました。タッチ機能、手書き機能、自動引受査定エンジンを利用した告知手続機能、スマートフォンと連動した撮影機能などを搭載した新端末により、申込内容等の視認性・わかりやすさを格段に向上させるとともに、手続き負担を大幅に軽減させました。コンサルティングフォローをさらに充実させるためのプラットフォームを構築しました。

ソニー生命保険共創戦略プロジェクト

2010年1月 ソニー生命株式会社 共創戦略プロジェクトの開発が始まった。
ライフリスクマネジメント(LiPSS)がリリースされてから15年を経過し、設計書システム・申込書システムを全面的に一新し、最先端のIT環境に基づき生命業界に新たなイノベーションを創造する、革新的プロジェクトが共創戦略プロジェクトである。
ファーストリリースが2012年10月と、2年10ヶ月 予想工数2,500人月に及ぶ巨大プロジェクトである。
2009年12月にベンダー各社のプレゼンテーションのもと、CAPがプライマリーベンダーとして受託した。まさに生保業界最先端のシステムの成否は、我々CAPの設計力・開発力に託された。クライアントの目標は、わがままで妥協を許さない。CAPはいかにプロジェクトを完成に導いたか?

プロジェクトの目的をいかに設定したか?

ソニー生命株式会社共創戦略部が設定したプロジェクトの最大の目的が、バックオフィスの革新であった。通常、保険契約締結に至るプロセス、書面は、膨大で、かつ複雑である。これらのペーパーワークをペーパーレスに転換できれば、相当な事務処理の効率化が期待できるはずである。
第二の目標は、ソニー生命は90年代既にノートPCによる顧客への提案を始めていたが、ネットさらにはタブレットPCの登場により従来の営業スタイルを変革できるのではないか。
第三の目標が、契約者にネットを活用し、パーソナライズされたコンサルティング機能を提供しようというものである。
これらの目標は、90年代半ばにソニー生命ライフプランナーが始めた、PCによる営業スタイルを、2010年代、最新のテクノロジーを活用しながら、全く新しいイノベーションを創造しようとするものである。即ち、生保デジタリゼーションの実現という壮大な目標である。
1995年にソニー生命ライフリスクマネジメントシステム・設計書システム・申込書システムの開発を担当していた我々CAPにとっても、電子署名のテクノロジー、申込ペーパーレスの要件、タブレットPCの機種が全く決まっていない中での手探りのスタートであった。何よりも、CAPにとって2年半、2,500人月が予想されるプロジェクトマネジメントが実行可能なのかという点であった。

プロジェクトマネジメントは、CAP取締役 里見があたった。里見はCAP開発チームを機能別に7つに分けた。
問題は2012年9月の第1次リリースが死守されなければならないということ。そのためには要件定義工程・設計工程が当初の期日どおりに終了しなければならない。顧客の盛り込みたいという要件・期待は、膨大である。申込ペーパーレスに対する仕様も想像を絶し、要件定義工程は1年を超えた。これらの顧客の要件を折込みながらもゴールに円滑に着地するためには、多様な要件の中から、適切な捨拾選択が求められ、かつ正確なドキュメントへの記述が必須となる。
里見にとってはクライアントとの日々の接渉と交渉が、新たなテクノロジーのシステムへの反映以上に厳しい業務となった。共創プロジェクトを構成する7つのシステムの部分最適を目指すと共に、プロジェクトの全体最適を図るということが里見の最大の関心事となる。折しも2011年3月11日、設計工程真只中に発生した東北大震災。しかし里見のタスクは、翌週からの作業も何も無かったかのように円滑に継続することである。
ソニー共創戦略プロジェクトの成否は、ひとえに里見のプロジェクトマネジメント能力にかかっていた。

バックオフィスの効率化はいかにあるべきか?

共創戦略プロジェクトの3つの課題の中で、最大のテーマが、バックオフィス革命を起こすということである。即ち、最新のテクノロジーを駆使して、事務処理から徹底的にペーパーを廃し、保険業務のデジタリゼーションを実現するというテーマであり、まさに生保業界の新たなイノベーションを創造するというテーマである。
生保デジタリゼーションは、図のように営業社員に向けたデジタリゼーションと、支社長・営業所長のためのデジタリゼーションの2つに大きく分けられた。

これら7つのシステムはチームリーダーがそれぞれのプロジェクトの品質と進捗を管理する。部分最適を実現し、チームを率いるプレーヤーがチームリーダーであった。

顧客接点の高度化をいかに実現したか?

共創戦略の2つ目の目標が顧客接点の高度化である。ノートパソコンを活用した生保の営業スタイルを想像したソニー生命が、最新のハードウェアであるタブレットPCを5,000台導入し、最大限ネットへの接続時でのオンライン活用、さらにはオフラインの環境においても生保セールスの付加価値化、事務処理における効率化を実現しようとするものである。
機体はソニー製VAIO Duo 11がソニー生命のために開発された。
これらがいかに実現されたかはソニー生命ホームページ内で詳細に掲載されているが、以下のとおりである。
タブレットPCによる新システムで顧客への提案を高度化、付加価値化し、入力情報を即、ホストへ転送する。

申込手続きのペーパーレス化

  • 画面の表示項目にタッチペンで入力して手続を進めていきます。
    お客さまにとって重要な事項については強調して表示します。
  • 自署はタッチペンを使って画面上で行います。
  • 申込内容は申込手続完了後、WEB上でお客さまご自身がいつでも確認することができます。
  • 申込処理を迅速に進めることができ、従来より早く保険証券をお届けすることが可能になります。

告知手続きのペーパーレス化

  • 告知についても、画面上での手続を実現しています。
  • 自動引受査定エンジンを利用して、告知いただくべき傷病がある場合にはその傷病に沿った質問を表示し、質問に回答するだけで告知を完結できる方式(質問回答方式)を採用しました。
    これにより、お客さまに分かりやすい手続が可能となりました。

口座振替登録のペーパーレス化

新端末を使ってネット登録手続にて保険料振替口座の登録が完結できる方式を新たに採用しております。

健康診断書のペーパーレス化

これまで書面でご提出いただいていた「健康診断書」等については、担当者がスマートフォンで撮影した画像データを新端末と連携させて、機微情報を含む画像データをスマートフォンや新端末に一切残すことなく伝送することで、機微情報のセキュリティーを強化し、安全でスピーディーな手続を実現します。

ソニー製VAIO Duo11は、ノートパソコンとしてキーボード入力が可能であると共に、スタイラスペンで入力が可能なタブレットPCの2つのスタイルを持つ。ライフプランナーがシュミレーションした生涯資金繰りを確認すると共に、顧客自らが申込書を入力する。まさに顧客接点の高度化を実現した。

個の情報をいかに活用すべきか?

従来の生保フロントエンドシステムで、顧客情報が十分に活用され、お客様自身の事後のコンサルティングに、完璧に役立ったとはいえない。また、取扱者の顧客管理の為、クロスセルに十分に活用されたともいいきれない。今回のシステムは、個の情報を最大限に活用し、分析可能とし、顧客との生涯にわたるライフステージ毎のコンサルティングを実現する統合データベースを構築することが目標であった。即ち、生保CRMの実現である。

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